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由布島
【ゆぶじま】


西表(いりおもて)島東岸,竹富(たけとみ)町古見(こみ)の美原集落の東約500m海上にある島。八重山諸島の1島。方言でもユブという。竹富町古見に属す。面積0.12km(^2)・周囲1.96km。南北に細長いひょうたん形で,西表島とは砂地の浅瀬でつながっており,干潮時には歩いて渡ることができる。「ばが鳩間じらば」には,人々が着物のすそをたくしあげて,干潮時に歩いて渡る様子が謡われている(ジラバ71/歌謡大成Ⅳ)。島名は砂州の方言にちなむともいう。古くは対岸の与那良川一帯の水田に通耕する黒島や竹富島民の泊まり場所であった。西表島でマラリアが猛威を振るった時代にも,由布島にはマラリアの感染媒体である蚊がいなかったという。昭和23年に第2次大戦からの引揚者を中心に集落を作り,学校も竹富初等学校島分教場が開校した。しかし台風災害を受けたため昭和46年に対岸に移って美原集落を建てた(竹富町誌)。島内の由布遺跡には土器や近世の陶磁器,貝殻などが散布している。遺跡の近くからは片刃石斧が採集されたが,遺跡とは関係がなく持込みの可能性が強い(県文化財調査報告書29)。また島内の由布御嶽は古見の雨乞の祈願所である。15世紀末に活躍した長栄氏の祖長田大主がこの島で造船をしたという言伝えがある。昭和55年末からは植物園造園計画で再び人が住むようになり,現在は観光用の亜熱帯植物園が経営されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241998