100辞書・辞典一括検索

JLogos

34

与那国島
【よなぐにじま】


那覇(なは)港の南西海路約450kmの東シナ海上に位置する島。八重山諸島の1島。方言ではドゥナンチマという。日本最西端の島で,1島で与那国町および字与那国を構成する。「おもろさうし」には「いなくに」「いにやくに」とあり,「指南広義」「琉球国志略」には由那姑呢,「李朝実録」には允伊閏伊是麽と見える。また欧米人の記録では,乾隆52年(1787)に付近を航行したラ・ペルーズの海図にクーミ(Koumi)と記されているのをはじめ,ゴーヴィルの「琉球覚書」にはユウナクニ(Yeounakouni)と書かれ,ベルチャーの「サマラン号の航海記」にはクミ(Kumi)・イナク(Y-nah-koo)・ヨナクニ(Yonakuni),ペリーの海図にはクーミ島(Koumi Island)と記されている。面積28.52km(^2)・周囲29.54km,最高所は宇良部岳で標高231.2m。東西約12km・南北約4kmで,ほぼ東西に長い平行四辺形の形をなす。島の東部には宇良部岳・インビ岳を主峰とする宇良部山系が東北東から西南西に走り,また,西部には久部良岳・与那国岳を主峰とする満田原山系が東西に走っている。その両山系は第三紀中新世の八重山層と呼ばれる砂岩・頁岩の互層からなっており,与那国島の基盤をなしている。両山系は断層崖によって境され,その周縁には数段の琉球石灰岩からなる段丘が形成され,主要な農耕地となっている。道光25年(1845)6月にこの島の調査に訪れたベルチャーは,「サマラン号の航海記」の中で,島内には700フィートの山があって,全島が見渡せ,西に1つ,南に1つ,北に2つの集落があると記している。現在は北に祖納(そない),西に久部良,南に比川の3集落がある。祖納集落の北には祖納港(波多港)があり,古くから舟着場となっていた。町の公共施設の多くは祖納集落に集中する。現在祖納港には4日に1回石垣島との間を結ぶ定期船が運航し,6時間30分を要する。また祖納集落の西には与那国空港があり,昭和42年から石垣空港との間に南西航空の定期便が就航し,離島苦の解消に役立っている。現在1日3便が運航,所要時間30~40分。島内の山林には世界最大の蛾といわれているヨナグニサン(地元ではアヤメハビルという)が生息し,数が減りつつある在来馬のヨナグニウマ(チマンマ)とともに町天然記念物として保護されている。産業は農業・畜産業・水産業が行われ,特に久部良集落ではカジキマグロ漁が盛ん。島の周囲には好釣場や景勝地も数多く,近年観光客の注目するところとなっている。島内には近世に課せられた人頭税にまつわる伝説が今も多く残っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7242026