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与那田川
【よなだがわ】


西表(いりおもて)島北西部を西流する河川。方言では河口付近をユナダミナトゥ,それより上流をピサイミナトゥという。竹富(たけとみ)町西表の北部を流れ,干立(ほしたて)集落の南で海に注ぐ。24haに及ぶ広大なマングローブ林に覆われた流域の一帯は,干立東側の丘陵地カナザヤンのふもとのヤエヤマヤシ群落,湿地に生えるミミモチシダ群落などとともに国天然記念物の星立天然保護区域に含まれている。与那田は川の名前というよりは橋の名前で,康煕57年(1718)に石造りの橋が渡されて以来の命名であろう。かつて橋が渡されていた場所は今でもイシバシと呼ばれ,左岸には橋を架けた当時の由来を示す漢文の石碑が現在もたっている。嘉慶5年(1800)にはこの石碑のすぐ上の辺りに役所で使う紙を作るカビヤ(紙漉屋)が創設された。役人と舟浮の美女カマドマとの恋を謡った「とのさま節」に「紙屋」と記されているのがここである(八重山島歌節寄60/歌謡大成Ⅳ)。マングローブ帯の南側にはチクララー・マラントゥなど,東側には浦内川にかけてフカンタ・クモッタ・ミナピシなどと名付けられた干立と祖納(そない)集落の水田が点在している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7242028