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よなはばま
【よなはばま】


「おもろさうし」に見える浜の名。「よなは」は南風原(はえばる)町与那覇(よなは)に当たる。オモロ時代にはこの地域まで海が入り込んでいた。対語は「よきのはま」。この浜に関連するオモロは重複を除くと4首ある。これは,王府時代に国王の久高島行幸があったこと,また聞得大君の即位(御新下り)に斎場(さいは)御嶽での祭儀があって,与那原(よなばる)や与那覇浜はその行列の途に当たっていたことによる。巻3-18,No.105には次のように謡われている。一きこゑ大きみきや(聞得大君が) なでゝおちやるみやふさ(撫で育てておいた御隼) とよまちへ おるしよわ(鳴り響かせて降ろしたまえ)又くにもりきや(国守〈神女〉が) なてゝ(撫で育てて)又よなはばま よりやけはま おるしよわ(与那覇浜に,寄り上げ浜に降ろしたまえ)又うちすてる かきすてる すらより(うち孵でる,かき孵でる梢より)御隼(隼のように早い船の意)という船の進水を謡ったオモロである。船造り場から船おろしする新船を,梢から孵で立つ鳥にたとえている。この1首によると与那覇浜(寄り上げ浜)は,首里王府の最高神女である聞得大君が守護する御隼船を船おろしした王府儀式ゆかりの浜であった。また巻3-60,No.147にも「与那覇浜 聞得大君/八千代かけて 鳴響(とよ)まさに(与那覇浜で聞得大君は八千代をかけて鳴り響かせよう)」と見える。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7242035