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世富慶川
【よふけがわ】


沖縄本島北部を流れる河川。方言ではユッキガーという。国頭(くにがみ)山地に源を発し,名護市世冨慶中央部を西流して名護湾に注ぐ。河川延長3.65km・流域面積3.40km(^2)。流域は先新第三系の千枚岩類からなり,一部に火成岩の石英斑岩が貫入する。左岸は急傾斜の山地であり,右岸にはやや起伏の小さい山地が広がる。北側の東原には標高150~160mの平坦面がある。中流に架かる下川橋より下流には小規模ながら谷底低地も形成され,河口の小さな海岸低地に集落が立地する。山地の植生はリュウキュウアオキ・イタジイ群落が主であるが,集落近くの斜面は第2次大戦後までソテツを栽培する段々畑に利用されていたが,現在はリュウキュウマツ・ノボタン群落が広がる。川に沿って国道329号が通り,周辺にはタイワンハンノキの林が広がっている。国道は標高150~160m付近で分水嶺となり,南東側はミジャ川流域となる。中流の谷底低地には,昭和40年頃まで水田も見られたが,今日では準工業地域指定を受け,食肉センター・製缶工場などが立地する。下川橋とそれより約400m上流の上川橋の南に立地する採石場は石英斑岩を採掘する。王府時代には砥石として貢納されたものである。昭和49年河口から北側の海岸は埋め立てられ,景観的には名護市街地と連続した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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