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廻神(中世)


 室町期から見える地名。備後国三谿郡のうち。吉舎大慈寺所蔵宗綱語録の中の「徳岩広恩禅門三十三回忌」の部分に「共惟,備后国三谷郡廻神居住,藤氏沙弥道永,于時応永三十五某日,丁先考前備州太守広恩没後三十三回之遠忌,欲報天覆之恩徳」と見え,廻神住人藤原道永が応永末年に備後太守広恩の三十三回忌を修している。ついで戦国期,弘治3年と推定される書状で毛利元就は,三吉致高の知行分として「廻神七百貫」はじめ1,700貫を挙げており,当時三吉氏の支配下にあったことが知られる(毛利家文書)。廻神にはこののち松田氏が入り,地名をとって廻神氏と改めている。廻神氏は氏吉の代,当地へ住したが,出雲陣において氏吉は討死,弟就吉の息藤十郎元正も,永禄5年石見河上において討死した。元正は,毛利隆元の近習奉公の者であった。跡目は就吉甥万鶴丸元行が継いでいるが,幼少のため奉公はできず,天正7年輝元から再び跡目安堵を認められている。のち毛利氏とともに防長へ移り住んだ(閥閲録94)。廻神氏の館跡とみられる「土居」地名や藤十郎墓と伝える墓碑も残る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7424051