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恵山
【えさん】


渡島(おしま)地方椴法華(とどほつけ)村と恵山町にある山。標高618m。北海道最南端の火山で,恵山道立公園に属する。山名は「北海道の地名」によるとエシャニノボリに由来し,恵山岬の(上の)山の意。山体は北の八幡川,東の水無沢,南のスカイ沢・タカノス沢などにより若干開析される。矢尻川・古武井川と海に囲まれた地域を広義の恵山,恵山溶岩円頂丘を狭義の恵山と呼ぶ。広義の恵山火山は中新世の古武井層の基盤の上に同時代の絵紙山層・木直層などを載せ,この上に広義の恵山火山の活動があった。その活動はいずれも安山岩質の溶岩を噴出するもので,3時期に分かれ,古期には溶岩円頂丘状火山体の海向山(570m)・椴山,中期には外輪山,新期にはスカイ沢山円頂丘・御崎溶岩・恵山溶岩円頂丘(狭義の恵山)が生まれた。中期火山(外輪山)と新期火山との間に岩屑流堆積物からなる恵山火口原があり,南部には新旧2段の段丘地形,火砕流堆積地形・崖錐・火山麓扇状地が分布する。恵山溶岩円頂丘は西に爆裂火口をもち,現在でも活発な噴気活動を続ける。円頂丘の活動は宝暦13年頃から知られるが,噴火の確かな記録は少なく,弘化3年と明治7年に小噴火があった。恵山周辺には温泉が多く,火口原にあった恵山温泉は,現在は南山腹の原田温泉と恵山高原ホテルに引湯する。御崎には石田温泉,水無には海浜温泉(露天風呂)がある。恵山にはイソツツジ・ガンコウラン・サラサドウダン・ヤマツツジなど130余種の高山植物が群生する。恵山岬には国民宿舎がある。昭和36年に道立自然公園に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7600059