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富良野岳
【ふらのだけ】


上川地方上富良野町と富良野市の境界にある山。標高1,912m。旭岳(1,335m)・前富良野岳(1,624m,別名ウロウスベ山)とともに十勝岳連峰の末端にあり,大雪山国立公園の南部を占める。安政5年に十勝越えをした松浦武四郎はベベルイ川の支流カラ川をのぼり,富良野岳と前富良野岳の通称飛行場と呼ばれる鞍部を通過したとされ(富良野市史),「戊午日誌」には鞍部はルウチン峠,富良野岳はヲッチシバンサイウシベ,前富良野岳はヲッチシベンサイウシへとみえる。大正6年測図の地形図では無名峰。原始林に囲まれ,男性的な独立峰の感があり,山体は成層火山で頂部に3つの爆裂火口がある。うち西斜面のものは直径500mに達する。西麓は扇状性の斜面で,一部に溶結凝灰岩の残丘がみられ,その大半は自衛隊の上富良野演習場となる。南の緩斜面には原始ケ原の高層湿原が発達し,空知川の源流域にもなる。前富良野岳や太麓山(1,460m)の斜面でのビート・タマネギなどの作付け拡大は土壌浸食の危険性を高めた。登山ルートは,夏コースに十勝岳温泉からと原始ケ原からのものがあり,前者では豊富な高山植物が観賞できる。頂上からは直下に周辺市町の市街地,北は東大雪,南は夕張岳・芦別岳のほか日高連山を遠望できる。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7600403