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恐山火山
【おそれざんかざん】


下北郡大畑町とむつ市にまたがる火山。昭和43年下北半島国定公園内に指定。下北山地の東部に位置する第四紀洪積世の二重式火山で,那須火山帯に属し,石英安山岩質角礫凝灰岩や輝石安山岩および火山砕屑物などからなる。直径約4kmのカルデラと直径約2kmのほぼ円形のカルデラ湖(宇曽利山湖)を形成する。湖水は強酸性を呈し,北東端の三途ノ川の河口瀬から流出する正津川は津軽海峡に注ぐ。カルデラ壁は,屏風山・北国山・毛無山(693m)・障子山・小尽山・大尽山・円山などの外輪山で構成される。宇曽利山湖の北岸には,鶏頭山・地蔵山・剣山など,標高320mクラスの中央火口丘群があり,一帯は地熱噴気地帯で,多数の硫気孔が分布し,二酸化イオウ・硫化水素ガス・熱湯が噴出し,大小60余りの温泉源があって一部は浴用に利用されている。北東部では,大正7年頃まで硫黄の採掘も行われていた。多数の硫気孔と変質した岩石は,修羅地獄・血の地獄・畜生道・胎内くぐり・賽の河原などの八大地獄と呼ばれる特異な景観を形成する。霊場恐山といわれ,蓮華八葉の霊地,南部の霊場として広く知られ,貞観4年慈覚大師円仁の開山とされる円通寺が建つ。高野山・比叡山とともに日本三大霊場に数えられる。毎年7月20~24日の恐山大祭には多くの参詣人と観光客でにぎわう。外輪山南東斜面には,下北半島第一の高蜂釜臥(かまぶせ)山,西斜面には第二の高峰朝比奈岳があり,いずれも輝石安山岩からなる溶岩円頂丘であって,この火山の寄生火山と推定されている。広くヒノキアスナロ(ヒバ)林とブナ林に覆われているが,恐山境内には,イソツツジ・エゾシャクナゲ・アカミノイヌツゲ・ナナカマド・シナノキ・オソレヤマザサなどのほか,地衣植物のユオウゴケなどの硫気孔植物群落が見られる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7600511