100辞書・辞典一括検索

JLogos

18

蒼前平
【そうぜんたい】


八戸市と三戸郡階上(はしかみ)町にまたがる台地。九戸段丘の一部をなし,西方を荒井田川とその支流の松館川に限られ,南と東を階上岳北麓線と太平洋岸に囲まれる地域。東西約8km・南北9km余のほぼ三角形の,ごく緩やかに起伏する台地。この台地は蒼前平段丘と呼ばれる海成段丘で,最高位の洪積段丘である。段丘は2段に分かれ,上位の段丘(蒼前平高位段丘)は標高130~150m,下位の段丘(蒼前平低位段丘)は標高120~140m。先第三系の古期岩類を基盤とし,凹凸に富む基盤岩類の上に最大30m以上,ふつう10m程度の主に第四紀の水成段丘堆積物がのり,これを最大10m程度の火山灰層群(ローム)が被覆し,地表直下は黒色土層となってほぼ平坦な段丘面をつくっている。台地を刻む谷は階上岳北山麓の鳥屋部から西北西に流れ,新井田川の支流松館川に合する馬渡川と,鳥屋部の東に隣接する赤保内から東北東に流れて太平洋に注ぐ大渡川の2つで,谷壁は低いが急崖となっている。台地中央部を国道45号が東南東から西北西へ走る。昭和30年頃までは集落が散在する程度であった。その後宅地化が各所で進んでいるが,原野・森野・畑地が比較的多い。住宅地から離れたところでは,ブタ・ニワトリなどの大規模家畜飼育場が見られる一方,ゴルフ場や自動車教習所・大学なども建設されて都市化の波も押し寄せている。現在,新井田川上流の南郷村世増(よまさり)にダムが築造され,そこから揚水して大規模な畑地灌漑を目指す八戸平原開発計画が進められている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7600550