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束稲山
【たばしねやま】


多和志根山とも書き,古くは駒形山とも呼ばれた。西磐井郡平泉町と東磐井郡東山町との境にある山。標高595.7m。山名は,稲の束がたわんでいるのに似ることにちなむといわれる。北上川を隔てて,平泉や衣川が眺望できる。この地方第一の美しい山容であり,かつては桜の名所であったとも伝えられる。また,京都の東山になぞらえて,大文字の送り火の行事も行われている。「山家集」には西行法師の「ききもせずたはしね山のさくら花よしののほかにかかるべしとは」という歌がある。「吾妻鏡」文治5年9月27日条によれば,この山は「駒形嶺」とも称していた。4月5日になっても残雪のまだらに残る山だったからという。平泉の地形は,西からは衣川丘陵が東にのびて北上川を東にせばめ,東からはこの束稲山の山すそが西に張り出して,川を西にせばめ,北上川の川幅が極端に狭くなっている。そのようなこともあって,平泉は,東西・南北の東北を一つにまとめる要(かなめ)の地にもなったのであり,平泉の歴史的位置を定める上にこの山の占める比重はきわめて大きい。現在は,平泉の観光地化と併せて開発が進み,キャンプ場やスキー場のほか,国民宿舎などの施設もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7600745