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乙字ケ滝
【おつじがたき】


須賀川市前田川と石川郡玉川村大字竜崎にまたがる滝。国鉄東北本線須賀川駅から南東約6km。市内東を北流する阿武隈(あぶくま)川本流の滝で幅60mに及ぶ。水量がある時は壮観。滝見不動の境内に松尾芭蕉の「五月雨の滝降りうづむみかさ哉」の句碑がある。石英安山岩質溶結凝灰岩の造瀑層が一部後退して,急崖が乙字形の平面形をもつのでこの名がある。江戸期に阿武隈川舟運の便をはかるため,左岸に近く幅4mばかりの掘割を造って船を引き上げる等の特別な労作が必要であった。浜田用水は乙字ケ滝上流200mの地点で横断堰をつくり,末端である浜尾字荻ノ内まで5kmにわたって引水し,浜田地区171haを灌漑した。この用水の一部は須賀川電気(現東北電力,最大出力250kw)の発電に利用され,当時は昼間煙草製造や精米・製材・製綿業に,夜間は須賀川地方などの電灯に利用された。小規模であるので発電中止の声もあったが,省エネルギーの時代,無人化して発電は継続している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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