杉田川
【すぎたがわ】

安達太良山と和尚山の鞍部，安達郡大玉村地内に源を発し，約18kmほど東流し二本松市杉田で阿武隈川に合流する１級河川。上流部には遠藤ケ滝（不動滝ともいう）があり，ここより上流部は吾妻修験道岳山駈け用のコースである。遠藤ケ滝より下流部では苗松山の南麓をまわり，原瀬川を合流し，杉田宿を横断して阿武隈川に流入する。原瀬川の最上流部に近い所から二本松霞ケ城および城下町の一部への用水源として二合田(にごうだ)用水が元禄13年に開削され，現在も二本松市や安達郡安達町の水田の一部を潤している。岳温泉街の近く，原瀬川の上流部には防災・灌漑用の岳ダムが昭和54年に完成した。杉田川および原瀬川の流域は河川流量に比較して水田面積が広く，そのうえ用水配分が不合理なため水不足と水争いが絶えなかった。岳ダムはこれら流域の水配分の合理化と安定化に大きく貢献しようとしている（二合田用水も含む）。杉田川の合流点付近，杉田字郡山台と字長者宮の地内からは安達郡衙跡が発掘されており，杉田川の氾濫原は安達郡内でも最も古く水田が開発された所と考えられる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7601277