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鉄山
【てつざん】


耶麻(やま)郡猪苗代町と二本松市との境にある山。標高1,709.3mで安達太良連峰第2位の高山。西南部には沼ノ平火口,南東部には岳(だけ)温泉の湯元である鉄山火口があり,いずれも急斜面となっている。西部および東部は洪積世末期に鉄山が流したと思われる溶岩流のなだらかな斜面を残しており,特に北東部の緩斜面は僧悟台(そうごだい)と呼ばれている。ヤエハクサンシャクナゲの群生地でもある。南部は2つの旧火口がつくった馬の背といわれるところで,この鞍部を会津藩では沼尻峠と呼んでいた(新編会津・家世実紀)。馬の背の中ほどには矢筈森(やはずもり)があり,この麓の梵字(ぼんじ)石から鉄山山頂,鉄山と箕輪(みのわ)山の鞍部・弥陀ケ原を経て吾妻山浄土平へ至るのが吾妻修験道岳山駈(だけやまが)けのコースである。文政7年,暴風雨のため鉄山が崩壊し,鉄山火口内にあった朝日温泉(岳温泉の前身)が埋没したとの記録がある(岳山崩一件・今泉文書)。別名はくろがね丈・鉄丈・鉄ケ城・鉄城山などと表記されるが,鉄ケ城の呼び名には,前九年・後三年の両役に安倍貞任・宗任兄弟が籠城したとの口碑伝説がある。鉄山南東部は安山岩柱状節理のため急崖となっていて,若者達のロッククライミングに利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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