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九十九谷
【くじゅうくたに】


君津市南西端から富津市にかけて鹿野山南方の山地に展開する浸食地形。清澄山地の北斜面にあたり,標高200mの低山性の丘陵である。第三紀三浦層の砂質凝灰岩の地質で岩層が軟らかく,山頂にわずかに原形面を残す満壮年期の地形をなし,山地は険しくそそり立ち,谷は深く刻み,あたかも山波というべく塁々と続き,無数の谷が文字通り九十九谷の観を呈する。この山岳景観は日本アルプスを見るかのような一大パノラマである。明治期の文豪大町桂月が絶賛したのは,鹿野山から見下ろした九十九谷の景観である。鹿野山が仰ぎみる山でなく登って天下を俯瞰する山といわれるゆえんである。南房総国定公園の一部。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7601960