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水郷十六島
【すいごうじゅうろくしま】


利根川の北岸と茨城県の霞ケ浦に挾まれた干拓地の総称。上の島・中島・結佐・六角・西代(以上茨城県稲敷郡東村)・松崎(神崎(こうざき)町)を上新島といい,八筋川・卜杭・大島・三島・境島・扇島・磯山・長島・中洲・加藤洲(以上佐原市)を下新島という。茨城県と千葉県との境界は,利根川と横利根川が流れている。元来,この地は香取海と呼ばれる鬼怒川・小貝川の下流域で,大きな入江となっていたが,両川の沖積作用によって次第に中州ができはじめたらしい。中世には「川中のほまち(水田の意)一枚,川向ひのほまち四枚,島めくりのほまち一枚」(香取文書)とあるように,ある程度水田化されていた。その後,天正18年小田原北条氏が滅亡し,関東の新しい支配者として徳川家康が入府した。その際,常陸にいた佐竹氏に対する防衛上,境界の定まらなかった香取海の沖の島に注目した小見川在住の代官吉田佐太郎は,佐竹氏に所領を奪われた常陸江戸崎城主土岐氏の家臣石田駿河守に開発の許可を与えた。そして成立したのが上の島である。石田氏の干拓した上の島は中州の最北端にあり,それ以南をすべて独占しようとしたのであった。以後,この地は,家康によって「新嶋」と名付けられた。その後,帰農した土岐氏の家臣によって順次新田開発がなされ,利根川の瀬替えと並行する形で,寛永17年頃,磯山が干拓され,前述の十六島となった。開拓当初より寛保3年まで諸役が免除され,新島領と称する幕府領であったが,延享元年新代官堀江荒四郎の時に検地が実施され,課税対象とされた。現在,利根川下流域でも有数の早場米地帯として知られている。また,日本水郷ともいわれるように,水郷筑波国定公園の中心的役割も果たしている(佐原市史・香取郡誌)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7601977