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下末吉台地
【しもすえよしだいち】


横浜市北部・中部,川崎市の一部に広がる標高30~60mの台地。西から東へ緩やかに傾斜する。西縁は多摩丘陵によって限られ,両者の間には約20mの比高差がある。開析が著しく進むが,定高性をもった平坦面としてよく追跡され,特に横浜市鶴見区下末吉1~6丁目付近に良好に発達するため,同町名から命名された。地形学・地質学でいう下末吉面とほぼ一致し,最終間氷期の高海面期(更新世後期約12万年前)を示す地形として重要で,汎世界的な分布を示す。当台地は東京・横浜の地形を特徴づけるものとして古くから注目されてきたが,特に明治期に来日した外国人の興味を引き,ダビッド・ブラウンスの東京近傍地質編(英文,1881年)には「そもそも外客のはじめて横浜あるいは東京に着するにあたり,まず眼に上るものは,いわゆる沿岸の峭壁にして,その海浜よりの距離は一定せずといえども,たいてい湾曲線をなして互に相連続するを見る」(1882年の訳文による)とある。横浜市中心部の山手・野毛山の台地も下末吉台地の一部で,幕末~明治期に居留民の住宅地としてまず利用され始め,その後,日本人の高級住宅・官公舎として盛んに利用され今日に至っている。一方,北部の台地が本格的に利用され始めたのは第2次大戦後で,個人住宅,公営・公団住宅,社宅の用地として活用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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