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射水川
【いみずかわ】


「万葉集」に見える川名で,小矢部(おやべ)川の古称。高岡市伏木(ふしき)と新湊(しんみなと)市との間で富山湾に注ぐ。伏木港はその河口港。古くは小矢部川と雄神(おがみ)川(庄(しよう)川)とが合流して射水川となっていたので,水勢は雄大をきわめた。「万葉集」巻17,天平19年3月30日大伴家持作歌に「射水河いゆきめぐれる玉くしげ二上山」とあるのが初出。さらに雪どけ水みなぎる壮観や河口に波の立つさまが歌われている。寛正6年堯恵の「善光寺紀行」には二上(ふたがみ)川と記されている。「延喜式」の射水神社を二上神とも称したごとく,射水川を二上川とも称したのであろう。しかし射水川も二上川も後世一般の使用例は少なく,中世軍記物はもっぱら小矢部川の名を使用している。また河口は六度寺渡し・如意渡しなど渡しの名を用いるのみで川名は記していない。古岡英明の考証によれば,奈良期,小矢部・雄神両川の合流点は,小矢部市津沢付近で,その後,時代によって変動があったという。両川分離は明治35年からの河道切替工事によるもので,その完成は大正元年。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7602798