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布施川
【ふせがわ】


片貝(かたかい)川の支流,魚津(うおづ)市と黒部市の境をなす川。僧ケ岳(そうがだけ)を源流とし,流長約14km。古くは片貝川と合流せず単独で富山湾に注いでいたらしい。川名は戦国期より見え,布勢川とも書いた。古来,布施郷または布施保をうるおし,流域の平野は早くから開けた。「越中国小川山千光寺之記」に「勅願為御布施新川郡……于今,此間を布施谷と申す。其中の流を布施川と申し,水海を布施の水海と申候事。天正八年四月」(県史中)とある。近世の「元禄九年川々水源調書」に「上は池尻(いけじり)領の谷川,田籾(たもみ)村の谷川,此二瀬布施爪(ふせつめ)村領の上にて落合,夫れより布施川と云。海際にて片貝川へ落合」(越中志徴)とある。右岸を東布施(黒部市),左岸を西布施(魚津市)と称し,合わせて布施谷(ふせたん)という。民謡布施節は新川(にいかわ)木綿の糸引き唄だった。支流田籾川の上流嘉例(かれい)沢は平家の落人が隠れ住んだといわれる。かつて「平常は水量豊富であるが,舟筏の利もなく流木も行われない。夏季豪雨のとき,濁流堤防にあふれ,被害は大きかった」という(富山県政史)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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