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大菩薩峠
【だいぼさつとうげ】


塩山市と北都留(きたつる)郡小菅村の境をなす標高1,897mの鞍部。笛吹川の支流日川の源流をなす。北西2kmに大菩薩嶺(2,056m)がそびえ,南は2,000m内外の金沢山系から滝子山(1,590m)に続く。名称の起こりは観音菩薩が祀られていることによる。「国志」に「小菅村ト丹波村ヨリ山梨郡萩原村へ越ユル山路ナリ,登リ下リ八里,峠ニ明見大菩薩社二社アリ一ハ小菅ニ属シ一ハ萩原ニ属ス,萩原村ヨリ米穀ヲ小菅村ヘ送ルモノ此ノ峠マデ持来リ明見社ノ前ニ置テ帰ル,小菅ヨリ荷ヲ運ブ者峠ニ置テ彼ノ送ル所ノ荷物ヲ持帰ル,此ノ間数日ヲ経ルト雖モ盗ミ去ル者ナシ」とある。国中(くになか)(甲府盆地)と青梅を結ぶ青梅街道は当峠を越え,甲州街道の裏街道として往来も多かった。しかし,当峠越えは難所であったので,明治11年,藤村県令が新道計画をたて,柳沢峠越えの道を開通した。その道が現在の青梅街道で,昭和30年代に入って本格的な改修が行われ,昭和57年4月,主要地方道甲府青梅線から国道411号に昇格した。それで当峠越えは交通路としては廃れたが,展望はすばらしく,中里介山の長編小説「大菩薩峠」とあいまって登山者でにぎわっている。中里介山の「大菩薩峠」は大正2年9月,都新聞連載をはじめとして東京日日・大阪毎日・読売新聞などに連載され,当峠は著名な峠となった。昭和29年10月,中里介山の文学記念碑が当峠にたてられた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7603430