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千畳敷カール
【せんじょうじきかーる】


駒ケ根市と上伊那郡宮田村にまたがる木曽山脈を代表するカール(圏谷)の一つ。主稜線東側の中御所谷源頭部に形成され,背後には宝剣岳・前岳などの高峰がそびえる。圏谷底末端高度は標高約2,600m。この圏谷から下方のシラビ平(1,780~1,600m)に至る中御所谷は氷食谷で,シラビ平は氷成堆積物から成る台地。こうした氷河地形・氷成堆積物は,主に最終氷期前半の氷河最拡大期の産物である。最終氷期後半の氷河は,圏谷および氷食谷の一部をわずかに侵食したに過ぎない。圏谷周辺でみられる堆石堤(モレーン)は,最終氷期後半の産物。また圏谷の北半部が南半部に比べやや低いのは,解氷が北半部で遅れたことに起因する。昭和42年,シラビ平と千畳敷カールを結ぶロープウエーが開設され,一般観光客も中御所谷の氷河地形を観賞できるようになった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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