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放生峠
【ほうじょうとうげ】


武儀(むぎ)郡上之保(かみのほ)村と益田(ました)郡金山(かなやま)町の境にある峠。標高457m。金森長近が整備した津保(つぼ)街道は中之保若栗(現武儀町)で飛騨街道と分岐して津保川沿いに北上し,鳥屋市(とやいち)(上之保村)を経てこの峠を越え,金山に抜ける。「此地(鳥屋市)ヲ通ジル荷物先年マデハ飛騨ノ高山ヨリ馬瀬ヘカカリ当所ヘ来リシガ,近年金山ヨリ三里余ヘダチシ保井戸ノ番所差留ニナリ,金山ノ往来一方ニナリシ故鳥屋市送行ノ荷物減ズルトナリ,此地通行ノ荷物ハ飛州灰炭油系ノ類多シ,スベテ木類ハ金山ノ外通行ハ停止ナリ又名古屋ヨリノ還リ荷物ニハ塩木綿古手類多シ」(濃州徇行記)とあるごとく,鳥屋市に尾張藩の番所が置かれていた。昭和41年に拡幅工事がなされ,現在県道上之保金山線が通る。頂上から御岳(おんたけ)山の雄姿が眺められる。鳥屋市の名は渡り鳥を捕える鳥屋を作り,捕えた鳥を売る市を開いたことに由来し,放生峠の名は鳥の霊を慰めるため鳥を放した故事により,仏語の放生をとったと思われる(上之保村誌)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7603885