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有度浜
【うどはま】


駿河湾に面して静岡市大谷(おおや)から久能,清水市不二見に達する東西に細長い浜。静岡市と清水市にまたがる有度山丘陵の南面急崖下にある。古くは宇度浜・宇土浜とも書き,久能の浜ともいい,その地域は三保松原までを含んで呼んだ。平安期からその名が知られ,清少納言の「枕草子」に「浜は有度浜。長浜。吹上の浜。打出の浜。もろよせの浜。千里の浜,広う思ひやらる」とあり,「新古今集」「後拾遺集」にも当浜を詠んだ歌が収められ,また「海道記」の貞応2年4月13日に「宇度のはまをすぐれば,浪の音かぜのこゑ殊にこころすむ所なり。はまの東北に霊地の山寺あり」と描写されている。久能山下の根古屋(ねごや)を中央にして,久能街道沿いに東西約7kmにわたって集落が断続する。江戸期には浜で甘蔗栽培・製塩・イワシ漁などを行う半農半漁の村々であったが,明治後半,久能で始まった石垣イチゴの栽培は,その後次第に盛んになり,かつての玉石の石垣はコンクリート小板に変わり,現在では階段状のビニールハウスが東西に間断なく続く。出荷はクリスマス用が中心であったが,近年は観光用がかなりの比重を占め,春先は多くのイチゴ狩りの客でにぎわう。久能山東照宮へは,久能山下からつづら折り1,159段の急な石段を登る参詣道があり,そこから日本平までは屏風谷越えのロープウエーが通る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7603937