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箱石浜
【はこいしはま】


函石浜とも書く。竹野郡網野町と熊野郡久美浜町にまたがる海岸。久美浜湾口の湊宮から網野町浜詰に続く約6kmの海岸砂丘のほぼ中央部をさす。この浜の標高約20mの砂丘部に遺物が出土することは明治20年頃に知られていた。大正10年ここから函石式石棺と王莽期の貨泉が出土し,東西約800m・南北約600mの地域が同年3月「函石浜遺物包含地」として国史跡に指定された。古墳・貝塚のほか,土器・石器・銅器・鉄器・青磁器・古銭など,多くの遺物が散布している。場所によって出土品に特色があり,居住地も東から西に移動しており,各時代を明証する古銭が出土するなど,縄文時代から平安期への文化の発達を示している貴重な遺跡である。古銭としては唐・宋・明代の通貨,特に新の王莽が天鳳元年に鋳造した貨泉の出土が注目される。わが国のものとしては9世紀の富寿神宝・貞観永宝が出土している。この遺跡南部で西流し,久美浜湾に注ぐ佐濃谷川流域にも多くの古墳があり,この川の河口部が砂洲でふさがれるまでは北流して日本海に注ぎ,河口部には北九州や朝鮮半島と連絡した港津が存在していたと考えられている。しかし,弥生土器の中には大和系のものもあり,瀬戸内との交流があったことも推定される。砂洲によって港津の機能が失われたため,内陸部や,さらに東部の丹後海域に移住して集落も消滅した。現在は防砂の樹林でおおわれている(京都府史蹟勝地調査報告第2冊・第3冊)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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