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飛鳥川
【あすかがわ】


明日香川とも書いた(万葉集)。石川の支流。指定流路延長5.6km。府南東部の二上山南部の竹之内峠付近に源を発し,太子町山田・春日を経て羽曳野(はびきの)市飛鳥・駒ケ谷と,二上山の南西麓をほぼ北西流し,西名阪自動車道の橋梁の上流で石川右岸に合流する。流域一帯は,近つ飛鳥(あすか),あるいは河内飛鳥と呼ばれる地域で,大和の飛鳥,すなわち遠つ飛鳥に至るわが国最古の官道である竹之内街道がほぼ当川に沿っている。また,大和の飛鳥川と区別するため河内飛鳥川とも呼ぶ。上流域の太子町山田・春日一帯の磯長谷(しながだに)は古代の大豪族蘇我氏の墓所となっており,用明・敏達・推古・孝徳などの天皇陵とされる前方後円墳や方墳が数多く分布し,王陵の谷といわれるほどである。また,「万葉集」巻10には「明日香河黄葉葉流る葛城の山の木の葉は今し散るらし」と見える。羽曳野市駒ケ谷を中心とする当川の両沿岸は,一面にブドウ畑が広がる丘陵地帯であるが,古代には百済系渡来人の飛鳥戸一族の居住地であったと考えられ,飛鳥の集落の東には飛鳥戸神社がある。またブドウ畑の各所は,飛鳥千塚・新宮古墳群・観音塚古墳・オーコー塚など古墳の密集地域となっている。さらに当川流域は研磨材に使用する金剛砂の産地としても知られる。明治以降,本格的に採取されるようになったが,近年は衰退している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7604849