麻生津峠
【おうづとうげ】

伊都(いと)郡かつらぎ町御所(ごせ)と那賀郡那賀町赤沼田(あかんた)の境にあり，伊都郡と那賀郡の郡界をなす峠。標高526m。峠には往時茶店があって，地蔵尊が祀られていた。峠の南側にも茶店があって観音が祀られ，茶湯観音と呼ばれ，高野山に納骨する人は，この観音に湯茶を供えたといわれ，峠を越えて日高から志賀谷に入って高野山大門に通じていた。峠からは，遠く淡路，加太を望む事ができる。現在ハイキングコースとして適している。「名所図会」に，「麻生津より登ること険路二十町余，志賀谷へ出づる。是より下志賀まで五十町。峠に茶店あり。店の側に地蔵堂あり。眺望甚よし」と記されている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7605418