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室川峠
【むろごとうげ】


有田(ありだ)郡広川町上津木の落合から室河集落を経て,室川の渓流に沿って白馬山脈の脊梁を越える峠。日高郡川辺町の平川(ひゆうがわ),三百瀬(みよせ)方面に下る。標高340m。室河集落から支流室川に沿って上り,峠に達するところから室川峠の名がある。峠は,上津木から上り8町,下り18町と称され,峠道は有田郡と日高郡を結ぶ古道の1つである。また,この古道は室河越え街道ともいわれ,古くから有田郡広・湯浅方面の商人が,峠を越えて日高川中・上流地域の諸村への物資の供給,あるいは特産物の買入れ等,商業道路として利用された。明治に入って熊野街道が大改修され,広川町井関から鹿ケ瀬(ししがせ)を通らず,広川に沿って上津木の落合に入り,支流中村川に沿って,中村集落から西畑に出,そこからトンネルによって日高郡由良町の原谷を経て御坊(ごぼう)市に向かうことになり,一方昭和の初期に国鉄紀勢本線が日高方面に開通し,日高地方との交通の便がよくなる中で,当峠を利用する人々も減少した。第2次大戦後モータリゼーションの時代が到来し,一時古道も廃道同様となり,峠を利用する人々はほとんどなくなった。しかし,昭和34年4月14日,この古道が県道の認定を受け,広川町下津木~川辺町三百瀬間が県道三百瀬下津木線となり,急ピッチで道路の改修工事が進められている。峠下を室川トンネルが開通するのも近い将来であろう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7605543