100辞書・辞典一括検索

JLogos

13

琴引山
【ことびきやま】


飯石(いいし)郡頓原(とんばら)町と赤来(あかぎ)町の境にある山。標高1,013m。「風土記」に「郡家の正南三十五里二百歩なり。高さ三百丈,周り一十一里あり。古老の伝えに云えらく,此の山の峰に窟あり。裏に所造天下大神の御琴あり。長さ七尺,広さ三尺,厚さ一尺五寸あり。故,琴引山と云う」とある。古くから多くの人々の信仰を集めた山で,今も頂上に近く琴の窟,山頂には切り岩を積んだ塔があり,少し下ったところには大国主命を祀った琴引山神社もあるが,この琴の窟には琴らしい石も石神も見当たらない。「風土記」に記す窟は塔の谷の中腹に大神岩と呼ばれる岩組が露出し,中に琴の形の石が現存するのがそれで,石神はその北方稜線に立つ烏帽子岩がそれにあたってい,それぞれ尺度もよく合っている(風土記参究)。一名弥山(みせん)とも呼ばれ,中世末までは真言の聖地として42坊の堂宇が存在したというが,その後逐次下山して今はその跡かたもない。尾根にはブナの原生林,高山植物の類が多く自生し,よく晴れた日には頂上から西方に日本海を見ることもできる。現在琴引山ハイキングコース・キャンプ場などが設けられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7605729