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天狗山
【てんぐやま】


天宮山とも書く。八束(やつか)郡八雲村と能義(のぎ)郡広瀬町の境にある山。標高610m(三角点)。旧意宇(いう)郡最高の山で北方15kmの松江市街からもよく見える。安山岩質の山で,東北方・西南方にそれぞれ長い尾根をもち,これが郡境となっている。頂北付近の西北斜面にはブナの天然林がある。またそこから意宇川が発し,東北方中海へ流れている。北麓の意宇川上流域が八雲村大字熊野で,この地の同川左岸に熊野神社がある。本来はこの山自体が同社の神体とされていたようで,神社も頂上に近い字市場の地にあったといわれる。「風土記」は「熊野山(くまのやま)。郡家の正南一十八里なり。檜・檀あり。いわゆる熊野大神の社坐す」と記していて,熊野大社の元社地である。天狗山の西北方意宇川をはさんで約5kmのところに八雲山(やくもやま)(須我山(すがやま))があるが,これも須佐之男伝説に関係が深い。「懐橘談」「雲陽誌」には「くまの山」と記されている。いつのころから天狗山と呼ばれるようになったか,また天狗山と天宮山との前後の関係などは不明。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7605772