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丸瀬山
【まるせやま】


那賀(なか)郡旭(あさひ)町と邑智(おおち)郡瑞穂(みずほ)町の町境にある山。標高986.5m。大丸瀬・小丸瀬・畳山などの小峰名を付けている。西中国山地国定公園地域のうちにあり,旧市木村のほぼ中央に位置している。桜江町で江川(ごうのがわ)に流入する八戸(やと)川はここを源としている。往時は阿佐山山塊全体を丸瀬山としており,広島県山県(やまがた)郡大朝町と瑞穂町との県境にある阿佐山(標高1,218m)を主峰としていた。頂上はなだらかな草原で,灌木特にネズミモチがよく茂っている。頂上には三角点があり,また「飛び岩」という巨大な岩が2個並んでいる。その1つには天狗の足跡という巨大な足形が残されているが,もちろん人工のものである。伝説には弘法大師がわけ入って山を開くべく踏査したが,47谷しかないので開山を断念したと伝えられている。また山姥(やまんば)が開山を嫌って1谷隠したものとの伝承があり,その谷は「隠しが谷」といって現在もある。弘法大師は記念に3体の観音像を彫って残したが,その1体は観音寺原に,1体は麦尾に飛び下りたと伝え,現在2基の観音堂がある。また,1体は頂上に残り,夜な夜な灯をともし,夜の海上からの目標とされ,それを頼りに漁師は港へ帰り着けたといい伝え,海岸部から詣っていたという。江戸期までは薊小屋(あざみごや)・宝祖原両鈩山として樹木がよく茂っていたが,江戸末期山林火災を起こし3日3晩燃え続け,以来樹木が成育しなくなった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7605809