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大平山
【おおひらやま】


上房郡賀陽町の北東部,同郡有漢(うかん)町の東部にある山。標高697.3m。頂上付近が両町の境界で,一帯が600m前後の連峰をなす。吉備高原のほぼ中央部に位置し,新生代第三紀末の約500万年前,吉備高原が準平原化する過程で浸食から免れた残丘の1つで,地質的には流紋岩質砕屑岩類の地帯となっている。付近では最も高い山で,県下一円を見渡すことができ,南は瀬戸内海や児島半島,西は弥高山,北方は蒜山(ひるぜん)や大山など中国山地の山々を遠望することができる。第2次大戦後,超短波無線中継所が山頂に設置され,警察無線等重要な電波基地の役割を果たし注目された。近年は,杉やヒノキの植林地も多いが,アカマツ・コナラ・アベマキ・カエデ類の自然林やアセビ・ヒサカキの樹木が広く分布し,昆虫類・野鳥・けものなどが四季を通じて多く生息し,近くの権現山とともに吉備高原の自然環境を残す代表的地域として,県の自然環境保全地域に指定されている。南東斜面は旭川水系の宇甘川,北西斜面は高梁(たかはし)川水系の有漢川の分水嶺となっている。大平山から流れ出る谷川の清流には,カスミサンショウウオが棲息し,有漢町では町天然記念物に指定して保護に務めている。また,古くから山上仏教や修験の山として栄えたところで,東側山腹には役小角の開基と伝えられる天福寺が往時の面影を残し,天福寺郷土自然保護地域にもなっている。西側山すそには,安元の王子権現神社がある。そして,古くから頂上付近を越えて人々は往来し,交通上の要路であったようでお地蔵さんに刻んだ道標が立っている。昭和54年,中国自然歩道として開通し,春秋のハイキングコースとなっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7605865