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三ケ上
【さんがじょう】


苫田郡奥津町と同郡上斎原村の境にある山。標高1,035.1m。当山は昔,天狗や鬼が住んでいたという伝説の山で,山頂付近に天狗の土俵があり,ふもとには鬼が投げたというえぼし岩・鬼岩などが残る。江戸期の「作陽誌」によれば「三上山・上は上才原,麓は下才原。東北因幡を見,西北伯耆を見,南備前を望む。因りて三カ上と名づく」とある。地名の語源は奥津町側から見ると山頂が3つ並んで見えることや,古文書に三箇上峰とあることから地形によるものとも思われる。また山岳信仰の山上講とも深くかかわっている。奥津町には三ケ丈という小字が残る。三角点での標高は1,035.1mであるが,さらに高いピークを上三ケ上(かみさんがじよう)と呼び,標高は1,062m。山頂に天正元年の役行者の石仏と,同4年の不動明王の石仏がある。役行者像のほうには「備後国神関郡相戸邑・世話人・月坂弥三郎」とあり,戦国期の大名毛利氏の鉄山経営の名残とされている。口碑によれば山岳信仰の堂宇壮大であったが,豊臣秀吉により滅亡したという。上斎原村に属する北西斜面は,大正期すでに地元地区の役肉牛(和牛)の牧場として使用され最大時37haあったが,肉用牛の減少により昭和59年閉鎖された。第2次大戦後,スキーが大衆化し,昭和30年頃より夏期の上の寺牧場は,冬期には三ケ上スキー場として名を広めた。高度差500m,北西向きの3,000mのスロープをもつ県下最優秀のスキー場として国体の県予選も行われた。しかし,昭和43年リフト施設を備えた岩崎谷スキー場が近くに開場したため三ケ上スキー場は廃止された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7605907