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日生諸島
【ひなせしょとう】


和気郡日生町沖を中心に点在する大小14の島からなる。兵庫県赤穂市千鳥町沖にある取揚島は無人の小島であるが,昭和38年の越県合併紛争の際の自治大臣の示した案「陸は兵庫へ,海は岡山へ」によって岡山・兵庫両県境となっている島である。居住者のある島は頭島・大多府島・鹿久居島・鴻島・鶴島・長島の6島である。鹿久居島は県内最大の島で,西部の緩斜面を利用して,第2次大戦後入植した開拓者によってミカン栽培が行われている。鶴島は明治新政府のキリスト教禁止令布告により長崎浦上のキリシタン117人が流され,開墾と改宗を強制された島で,島内で死んだ18人の墓が残る。現在は個人所有の島でミカン園が営まれる。大多府島は元禄年間に岡山藩によって避難港が開かれたところで,開港当時の番所跡や灯籠堂跡が残っている。北側にある頭島とともに海運業従事者が多い。頭島は江戸中期の享和年間から日生の移住者により開発され,全島よく畑地化し,人口も多い。ミカン栽培のほか本土への通勤者も多い。鴻島は江戸期一時岡山藩の馬牧が行われたがその後放置され,昭和初期から開発された。長島は諸島中で邑久郡邑久町に属し,国立療養所長島愛生園と邑久光明園があり,昭和62年虫明字瀬溝と本土とを結ぶ架橋が完成した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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