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三坂峠
【みさかとうげ】


三坂乢とも書く。真庭郡久世町と同郡湯原町釘貫小川とを結んでいた伯耆往来の峠で,大山道にも利用された。峠道は約6里。三坂山とその北の赤岩との間の鞍部にあり,「三坂三里は四里近い」と歌われているように,伯耆往来最大の難所であった。この峠越えの様子は「往還通行の人牛馬難渋の為助の故,平生喰物はき物切らさぬ様」などとの記録が残る。峠には出雲に流された素戔嗚尊を慕い,あとを追ってきた妹が亡くなったという悲話が伝えられており,墓石とも思われる石積みが残っている。この道は中国山地内で産出した砂鉄を旭川の高瀬舟の発着地久世河岸まで搬出する道路として利用され,津山藩にとっては重要な峠であった。元禄5年給米3石を与えて茶屋守を置いた。寛永年間からは久世代官所が10石を給付していた。このため,峠を十石峠ともいうようになったという。また,三坂山山頂からは10国を一望できることによるともいう。峠には「美作国名紀元の碑」があり,和銅6年備前国より6郡が分かれて美作国が置かれた時,三坂山にちなんで国名が付けられたことが記してある。現在,峠は使用されず,草の中に埋もれている。峠跡には茶屋跡や,大山神社,王子権現の石鳥居が残る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7605980