祖谷渓
【いやけい】

三好郡池田町・西祖谷山(にしいややま)村境にある祖谷川下流の渓谷。祖谷川中流の西祖谷山村一宇から下流の池田町出合までの約11kmに及ぶ。砂質片岩の硬い地層を祖谷川が下刻して形成した谷で，中央の約４kmの間が特に美しい。西に国見山，東に中津山がある。各所に岩が露出し，谷底から約300mの部分が特に急で，主要地方道山城東祖谷山線はこの中央部を通る。車窓から春の新緑，秋の紅葉を楽しめるほか，スリルを味わうこともできる断崖絶壁の連続で，なかでも優れた景観は58か所あるといわれている。神峡，別名眠り獅子の谷といわれる馬蹄渓，霧迷谷，小金剛，大宮谷，瞰雅渓，眠り谷，能ケ岳，虎ケ岳そして小便小僧のあるのぞき岩など，自然の力をまざまざとみせつける絶景である。中央の谷底には泉温39℃の祖谷温泉が湧出する。また徒歩で小便岩や展望台から観察するのもよい。礫岩片岩の露頭やキャンプ村の施設もあり，すぐれた自然探究の場である。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7606408