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烏帽子山
【えぼしやま】


三好郡西祖谷山(にしいややま)村と東祖谷山村の境にある山。落合峠の北西約2kmに位置する。標高1,669.9m。「阿波志」に,「烏帽子山,祖谷にあり,二山対峙す。高円帽の如し。東を大烏帽子といい落合名にあり。西を小烏帽子といい小祖谷にあり」とある。山名はほとんど山容から名づけられるが,この山は北方の水ノ口峠から眺めると特に見事な烏帽子の型をなし,山頂の片方が持ち上がっている。現在は烏帽子山の南方約1kmの等高線で1,660mと読み取れるピークを前烏帽子山と呼んでいる。2山とも東祖谷山村と西祖谷山村の境界上にある。烏帽子山からは北方の松尾川ダムが見える。頂上は平らな台地をなし,樹木はない。この山の原生林は矢筈山烏帽子山風景林として1,500haが保護されている。南および西斜面は広葉樹林に覆われ,ブナの原生林を主体に,アズサ・ミズナラ・ヒメシャラ・コハウチワカエデが混じっている。尾根筋はスズタケ,谷ではカツラ・サワグルミが自生する。またホンシャクナゲ・ダイセンミツバツツジなど本県では珍しい。登山道は松尾川ダム,東祖谷山村深淵(みぶち)からのコースもあるが,落合峠から西へ稜線をたどり,前烏帽子山を登ってから,北へ向かって本峰に登るのが一般的でわかりやすく,約3時間の距離にある。帰途は北へ急坂を下り深淵へ下るのが早い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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