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鈴ケ峰
【すずがみね】


海部郡の海部町と宍喰(ししくい)町の境界をなす山。標高394.7m。「阿波志」には,「鈴峰,窪村にあり。峭抜にして道曲折す。頂上に堂あり,観音像を安置す。鈴一口を蔵す。よってその峰に名づく。鈴,礁よりこれを得る。また茶鑵あり,古色甚だし,鱗紋あり,水一斗三升ばかりを容るに足る。櫛川村孫右衛門なる者,天和年間にこれを海浜に得る。洗えば必ず風雨す。これを敬すること神のごとしと伝う」とある。この観音堂は円通寺といい,明治頃には参拝者が四季通じて絶えなかった(阿波名勝案内)。文化年間の「阿波名所図会」にも,大きな寺と参詣者でにぎわう様子が記載されているが,現在は無住で荒廃している。長宗我部元親の阿波侵攻の折の古戦場でもある。鈴ケ峰のシイ林のヤッコソウ自生北限地(海部町)は県天然記念物,又発生地(宍喰町)として国天然記念物に指定されている。登山道は安養寺から通じ,眺望に優れる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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