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高城山
【たかしろやま】


剣山から発し,一ノ森を経て,美馬郡木屋平(こやだいら)村と那賀郡木沢村との境界をなしつつ東北東に延びる稜線上にある山。標高1,627.9m。剣山の東北東約15kmの地点にある。「阿波志」には,「高白山,小畠(村)にあり,頂に危石あり臨石と呼ぶ。村民雨を乞う。また温泉あり志紀美名にあり金湯と呼ぶ」とある。積雪により他の山々より際立って見えるために高白山と名づけられ,同音の漢字に書きかえられた山である。山頂はスズタケに覆われ,少し下るとブナの原生林がある。志紀美(樒谷(しきみだに))にあった温泉は,「阿波名勝案内」にも,「樒谷温泉,小畠村にあり。断崖絶壁の間に湧き出で疝気痔疾,子宮病等に特効あり」と紹介され,明治期には営業していた。その後廃業したが,最近下流の坂州木頭(さかしゆうぎとう)川左岸に村営の四季美谷温泉が建設されて営業している。登山道はスーパー林道を利用する。林道は高城山の北の稜線から東面および南面の山腹を巻き,南西方の稜線を横切っている。頂上の南東に延びる稜線と林道との接近点から登れば,約40分の距離にある。林道が山を鉢巻き状に取り囲み,それより上部に残された原生林にはヒメシャラ・シャクナゲ・ハリモミ・五葉松などの老木が繁茂する。頂上からの展望に優れ,南に海部郡の山々,西に剣山,北に高越山,東に雲早山などが望める。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7606504