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鬼ケ城山
【おにがじょうさん】


宇和島市と北宇和郡津島町との境にある山。標高1,151m。宇和島市街の東方にそびえ,当地方の名山。北に毛山(1,089m)・高月山(1,228m)・郭公岳(1,010m),南に八面山(1,160m)・三本杭(1,225m)が連なり,これら鬼ケ城連山の盟主に当たる。山頂付近に狭小な平坦面がみられるが,山腹斜面は急峻で,壮年期の地貌を呈する。地質は山の北半が花崗岩,南半がホルンフェルスとなっているが,花崗岩は新生代新第三紀に中生代四万十層群の地層に貫入したもので,ホルンフェルスはその際に熱変成されたものである。山地一帯は国有林で,その東西両斜面には広く天然林がみられる。植物の垂直分布は,下からツバキ・サカキ・アカガシなどの常緑広葉樹林,その上部がモミ・ツガの針葉樹林,標高900m以上にはイロハカエデ・ミズナラ・ブナ等の落葉樹となっている。山頂付近のブナの自然林は日本の南限に当たる。登山道は,宇和島市野川より尻割山を経由するもの,薬師谷から登るもの,滑床から梅ケ成峠を経由して通ずるものなどがある。昭和50年には黒尊スーパー林道が完成し,山頂付近まで自動車で登れる。山頂はブナの自然林におおわれ,毛山との中間の鹿のコルあたりからは宇和島市街と宇和海が一望できる。山から東側の滑床渓谷にかけては,足摺宇和海国立公園の特別地域で,鳥獣特別保護地区でもある。かつてはサル・シカ・イノシシ等が多数生息していた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7606756