100辞書・辞典一括検索

JLogos

13

江迎川
【えむかえがわ】


北松浦半島西部を流れる2級河川。北松浦郡吉井町草尾免の南斜面を源として南流し,同郡江迎町猪調免で流路をほぼ直角に変更して西流し,山ノ田川・嘉例川などの支流を合わせて江迎湾に注ぐ。流路延長9.42km・流域面積31.5km(^2)。地形的特徴として,かつて江迎川の主流であった吉井町の福井川が,佐々川衝上断層によって,田ノ元付近で流路を奪われた事象(河川争奪)がよく知られる。下流にある高岩はかつての江迎湾の最奥部で,第三紀層の絶壁をなし,平戸地方八奇勝の1つである。天保年間の京都の画人沢渡広繁(精斉)は,この高岩を描き,その説明文に「高岩は下松浦郡長坂村にあり,城(平戸亀岡城)を去ること三里,高岩壁立し,奇状万態,画家のいわゆる折帯竣なるものなり。老松囲繞し,下清流ありて掬すべし,行旅ここにいたり企望賞歎せざるはなし」と記している。河口付近に見られた小規模な三角州は近世における干拓による新田開発(深江新田など)を可能にした。石炭産業盛時の黒い水は消え,河水は江迎町の上水道・農業用水に利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7607561