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石並川
【いしなみがわ】


尾鈴山を源とし,東臼杵(ひがしうすき)郡東郷町を東流して,日向市美々津町の石並海岸で海に注ぐ2級河川。全長約17km。上流域では丸木谷・多良谷などの支流が,尾鈴酸性岩に谷をうがって流れ下る。流域に覆土層が乏しいためか,この川は大雨でも濁ることがほとんどなく,常に清流を保っている。河谷の所々に尾鈴酸性岩特有の柱状節理の谷壁がみられ,それが樹々やカジカの鳴声と和して演ずる景観には心洗われるものがある。近年,この景勝をめでて行楽客が集まるようになった。ことに夏季には水泳やキャンプに多くの若者たちが訪れる。中流域はほぼ日向市との境をなす。清浄な水は,往時河口の石並地区に和紙の生産を起こした。「日向地誌」によれば「紙ヲ製スル者五十戸」とあり,第2次大戦前までは本県でも有数の和紙の産地であった。日豊本線開通以前にはここで生産された日向和紙は,地元の廻船問屋の手で遠く関西方面まで移出した。宮崎海岸平野を特徴づける洪積台地は,ここ石並川右岸で完全に尽きる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7608054