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三財川
【さんざいがわ】


九州山地の掃部(かもん)岳(1,223.4m)北部を源流域とし,西都(さいと)市の南部を流れ,宮崎郡佐土原(さどわら)町上江で本流に合流する2級河川。一ツ瀬川の1次支流。全長約38km,流域面積224.2km(^2)。一ツ瀬川のもつ47支流中では最も大きい。谷口に当たる水喰(みずはみ)(西都市三財)までの上流は深いV字谷をつくり蛇籠(じやろ)川と呼ばれる。立花(たちばな)・寒川(さぶかわ)の両ダムが建設され,毎時最大2万2,000kw(立花が1万3,400kw,寒川が8,600kw)の電力を得ている。三財川の沖積平野は水喰の少し下流福王寺集落から始まる。六野原(むつのばる)台地などの間を開析して沖積地をつくっている。中流の岩崎地区を過ぎるあたりで左に迂回して東流するが,この浸食面に比高およそ80mの急崖をつくる。中世に伊東氏の居城であった都於郡城三の丸はこの急崖上にある。急崖をなす地点を過ぎると急に沖積平野が広がる。流域中もっとも広い沖積地を形成するこの場所は,北から一ツ瀬川,南から三財川,西から三納(みのう)川と3河川が,それぞれの氾濫原を広げて接している。かつては雨期の増水ごとに奔放に流路を変えたわけで,現在は廃線となった国鉄妻線西佐土原駅周辺にみられる西都市・佐土原町・児湯(こゆ)郡新富町の境界線の複雑さはそれを物語る。川は平地を流れると蛇行する性質をもつが,受関(うけぜき)地区(西都市)にみられる三日月形の河跡湖は,蛇行する三財川がつくったものである。長さ2km余もあるこの河跡湖は出水時には遊水池の役割を果たし,災害防止に役立っている。また,オニバスの自生地としても知られる。三財川には大小21の支流があるが,主なものは西都原東麓を南流する鳥子(とりこ)川である。人柱伝説で有名な稚児殿(ちごんど)池はその源流に当たる。山路(やまじ)川は西都原の西麓を南流する支流で,上流域に三納の長谷観音像が,中流域には山路の毘沙門天像がある。この両仏像の所在を結ぶ小径は自然遊歩道として整備されている。小さいながら淵や急流をもつ川沿いの小径は,野趣に富むハイキングコースといえる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7608086