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広渡川
【ひろとがわ】


鰐塚(わにつか)山(1,118.8m)の南斜面を源流域とし,日南層群の山地に深いV字谷をつくって流れ,南那珂郡北郷町・日南市を貫流する県南最大の2級河川。全長38.5km,流域面積324.7km(^2)。上流域から中流域にかけての山地は全国的に有名な林業地で,藩政期以来の努力が飫肥スギの美林を育てた。谷口近くに蜂ノ巣キャンプ場がある。渓流と南画風の谷壁が見事で夏季は行楽客でにぎわう。沖積平野の形成はここより少し下流から始まる。下流域の課題は温泉開発と町並みづくりである。北郷町大藤(おおふじ)地区にある北郷温泉は,天然ガス試掘の副産物であるが,昭和51年ごろから町当局の肩入れにより,県南唯一の温泉となった。伝統的建造物群保存地区の指定を受けて町並み保存に努力しているのは,伊東氏5万1,000石の城下町飫肥地区である。ここは1次支流の酒谷川流域に当たるが,武家屋敷の静かなたたずまいの維持に努める一方,ユニークな商家づくりにも住民の努力がはらわれつつある。河口近くに堀川運河がある。運河は広渡川と油津港を結ぶ水路で藩政期につくられた。上流・中流域の林業地から筏に組んで運ばれた飫肥スギが,ここを通って港に運び込まれた。酒谷(さかたに)川のほか,黒荷田(くろにた)川・年見(としみ)川など大小26の支流をもつ。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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