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上甑島
【かみこしきじま】


天草諸島の西南,川内(せんだい)市の川内川河口の黒瀬岩から25.5kmの西方海上に位置する島。甑島列島のうち最北部を占める島で面積45km(^2)。明治のはじめ市来郡役所の管轄下にあった。明治22年上甑村となる。のち明治24年大字里が里村として分村し現在に至る。甑島列島の基盤をなす中生代白亜紀の頁岩が島西半部に,島の大半は新生代古第三紀系の砂岩からなり,一部東部の遠目木山から花牟礼岳頂上に古第三系花崗閃緑岩がみられる。地形は変化に富み,とくに海岸地形として北岸の遠相山地塊と甑島本島との陸繋島(里のトンボロ)と長目の浜と呼ばれる砂州(礫州)によってできた海鼠池その他の潟湖・甑四湖の外辺にみられるビーチロック,西岸のチキリ浦にかけての100m以上もの海食崖,南岸の深い入江をもつ溺れ谷の沈性海岸がある。長目の浜はかつて眺浦といわれ,慶安5年藩主島津光久来島の際この浦に遊び,この浦に勝る眺望なしとして「眺めの浜」と名づけたところからきたという。なお島の民謡「御縁節」はこの時の歓迎の唄という。海鼠池は最大深度22.6mの塩湖で,名が示すように上質のナマコを産し,藩主(不詳)が大村湾より輸入したものと伝えられる。上甑島の中心集落は里村の里(1村1集落)と上甑島村の中甑でいずれも藩政時代の外城制度の地頭所が置かれたところで麓集落がみられる。甑島ではほぼ全島にわたって農地改革以前まで土地共有制がみられたが,上甑島の江石地区では昭和46年の共有田の割替を最後に跡絶えたが,浦内湾頭の瀬上地区ではいまなお共有田の土地割替制(昭和56年1月実施,3年割替)がみられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7608194