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屋久島
【やくしま】


大隅諸島に属する島。「日本書紀」に掖玖,「続日本紀」に「天平五年益救郡大領加里伽等百三十六人因居賜直姓」とあり,益救・益久とある。ヤクとはアイヌ語で鹿のこと。俗に屋久島は人2万,猿2万,鹿2万という。東西28km・南北24km,周囲100km,面積500km(^2)のほぼ円形の島で,佐渡・奄美大島・淡路島・天草下島に次ぐ面積をもつ島。島の中央部は霧島屋久国立公園となっている。本島は海岸部の第三紀層と島の主体をなす花崗岩からなり,高さが九州一の宮之浦岳をはじめとし,永田岳・黒味岳など1,000mを越す山が30座を超え,海上アルプスといわれる。海岸部で19.5℃という年平均気温と多量の降水量(3,000mm以上)の影響と地形との関係で植生は垂直的分布に特色がある。0~200mはガジュマル・アコウ・ヘゴなどの亜熱帯植物帯,200~800mはクス・シイなどの暖帯常緑樹帯,800~1,600mは屋久スギ帯,1,600~1,750mはシャクナゲ帯,1,750m以上がヤクザサ帯となっている。島の90%以上が山林で,そのうち84%は国有林。通常,屋久スギとは樹齢1,000年以上のものを指し,良杉として知られ,林野庁によって計画的に伐採されている。農業は東部・南部に発達する海岸段丘面が盛んで,サトウキビ・サツマイモ・ポンカンや漢方薬の原料のガジュツなどが栽培されている。漁業は6,7月のトビウオ漁を中心とする。昭和35年にはシリコンを製造する化学工業が,水力発電を立地条件として,宮之浦に進出した。新井白石が西洋紀聞を著すきっかけとなったシドッチは宝永5年にこの島に漂着した。鹿児島市との距離は約130kmで,船・飛行機の定期便が毎日あり,登山客・観光客が増加しつつある。観光地としては屋久杉ランド・花之江河(はなのえごう)・鹿之沢や志戸子のガジュマル林などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7608328