舞野[東北地方] 角川日本地名大辞典

竹林川左岸から吉田川右岸一帯の地域で，一部は吉田川を越えて左岸に及ぶ。毎野・前野とも書く。吉田川・竹林川の氾濫原上の水田地帯で，集落は自然堤防上に成立。吉田川下流の遊水地である品井沼は，しばしば排水不良を引き起こし，そのたびに逆流した水があふれる水害の常襲地であった。元禄年間以来の品井沼排水工事もほとんど効果なく，明治末年からの改修工事による逆流防止のための閘門設置や，昭和に入ってからの吉田川の流路変更工事などでようやくその被害から解放されるに至った。地名の由来には坂上田村麻呂伝説がある。以前この地には淀ケ淵(よどがふち)と呼ばれる湖があり，大蛇が住んで人の悩みとなっていたものを，田村麻呂が退治し，その骨を埋めた所に観音堂を建立，観音法楽の舞を行ってその悪霊を払ったといい（封内風土記），ここから舞台野という地名が生じ，やがて現在の地名になったという。天正18年９月17日付の太閤検地帳の１つ「黒河内毎野領検地帳」には舞台の地名が見え，６筆の田地に常陸・四郎左衛門などの人名が記されている（伊達家文書）。また地域内には一ノ坪という小字があり，条里制の遺構と考えられるが，これを実証する遺跡はない。
【毎野(中世)】　戦国期に見える広域地名。
【舞野村(近世)】　江戸期〜明治22年の村名。
【舞野(近代)】　明治22年〜昭和30年の落合村の大字名。