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宇治[近畿地方]
角川日本地名大辞典

宇治の地名が示す地点あるいは地域としてのあり方は実にまちまちで,一定していない。それは,時として宇治川両岸域の宇治神社や平等院の周辺,あるいは宇治橋畔の諸辺という限られた地点を示し,一方で,これらをも含む四方へのひろがりをもつ広範囲な地域を示す場合も多い。京都からすれば,伏見・木幡以南は宇治であり,奈良からみれば,宇治川以北は宇治ではないという具合である。琵琶湖の水をすべて1本にあつめた大河宇治川が,深い渓谷を曲がりくねったのちに,やがて西方の湿地帯にむかってほとばしり出る。三方を山に囲まれたその谷口に位置し,西方の巨椋池からみれば奥まった内ふところのような地形を呈したのが宇治である。宇治は本来の発音を「うぢ」というが,その地名の原義には,こうした自然景観的な「内」の意味が強く含まれている。一方,当地は大和朝廷の直接的な支配が及ぶ範囲の内,とりわけその最北端に位置する内でもあり,同時に,この地に1つの地方的な政治権力が存在したことを暗示している。「播磨国風土記」に見える「宇治天皇」菟道稚郎子(応神天皇の皇子)と彼にまつわる政争のエピソードは,その1つの証左であり,また,栗隈県と接して宇治県が形成され,この県の意識が平安期に至ってもなお「宇治県」「宇県」として存続することなども,地方的権力の存在を物語るものだろう。このように「宇治」という地名のもつ自然景観的,政治的な両様の意味あいは,当地が,大和から北陸や東山道に向かう交通の要衝であったことと不可分に結びついている。日本最古といわれる宇治橋の架橋,水陸交通の結節点として重要な機能を果たした宇治津の役割,近江国の木材を中継した宇治司所の存在など,宇治川渡河点に集約されたこれらの施設が,菟道稚郎子が菟道河畔に居住したという宮室の存在とともに,当初の地名としての「菟道(宇治)」の核心を形成している。
宇治郷(古代)】 奈良期〜平安期に見える郷名。
宇治(中世)】 鎌倉期〜戦国期に見える地名。
宇治郷(近世)】 江戸期〜明治22年の村名。
宇治町(近代)】 明治22年〜昭和26年の久世郡の自治体名。
宇治郷(近代)】 明治22年〜昭和26年の宇治町の大字名。
宇治市(近代)】 昭和26年〜現在の自治体名。
宇治(近代)】 昭和26年〜現在の宇治市の大字名。