亘[九州地方] 角川日本地名大辞典

「わたり」ともいう。菊池川上流右岸の丘陵地に位置する。地内の輪足山東福寺は天台宗比叡山正覚院の末寺で，天慶元年澄慶の開基，36坊を有したと伝え（肥後国誌），数度の火災にあったが，菊池則隆が再興したという。菊池武光の時に禅刹の１つとして菊池五山に加えられ，菊池氏の外護の下に栄えたが，同氏の衰亡とともに廃退，天台宗に復した。境内には元弘３年・建武３年・永享７年銘などの９基の塔があり，毘沙門堂には宝徳４年銘の塔がある。なお菊池渡山合戦については，暦応３年３月日の詫磨宗直軍忠状案（詫摩文書／県史料中世５）に「一，同年八月菊池渡山合戦之時，舎弟弥七郎〈致軍忠〉・同親類次郎五郎等致軍忠訖」と見え，建武４年８月に菊池渡山合戦があり，北朝方の詫磨氏が南朝方の菊池氏を攻めている。
【日理郷(古代)】　平安期に見える郷名。
【輪足村(近世)】　江戸期〜明治９年の村名。
【亘村(近代)】　明治９〜22年の村名。
【亘(近代)】　明治22年〜現在の大字名。