脳腫瘍
brain tumor
脳に腫瘍ができると頭蓋内圧亢進症状と脳局所症状が現れる.頭蓋内圧亢進症状では頭痛,嘔吐,うっ血乳頭(網膜所見)の三主徴が有名である.早朝からの頭痛,噴射性の嘔吐などの特徴がある.局所症状としては前頭葉でモリア(moria:諧謔症,多幸的・軽率・抑制欠如の状態),側頭葉で記憶障害,頭頂葉で失行・失認,後頭葉で視覚失認などさまざまなものが発生する.頭蓋咽頭腫craniopharyngiomaはX線像で歯が見えることがあるので有名である.下垂体腺腫pituitary adenomaはホルモン産生性のことがある.副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍では副腎皮質ホルモン過剰となり,肥満・満月様顔貌(ムーンフェイス)となり精神的にも躁またはうつを呈することがある.乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)産生腫瘍ではおっぱいが出る.成長ホルモン分泌腫瘍では末端肥大症になる.下垂体腫瘍は視神経を圧迫して視野欠損を引き起こすこともある.子供の頃から成長ホルモンの産生が多いと巨人症になりスポーツには有利であるが,下垂体が視神経を圧迫すると,両耳側半盲となり視野の外側が欠けてしまうことがある.野球でピッチャーをしてもセットポジションで視野のすみに一塁ランナーをみることができない.
| 丸善 「こころの辞典」 JLogosID : 12021180 |