米グーグル社の研究部門、Google X Labが開発中のヘッドマウントディスプレイ型ウェアラブルコンピュータ(身に着けるコンピュータ)。メガネのレンズの前に超小型コンピュータが置かれており、メガネを通して見ている現実の光景の上に各種情報を重ねて表示する。AR(拡張現実)インタフェースを実現するものである。2012年4月、Google+上でその存在が周知されたが、現在に至るまで市販はされていない。試作機がイベントで展示されたり、一部開発者や一部試用希望ユーザに提供されたのみである。「ウェアラブル」「AR」ともに、コンセプトとしてはかなり古く、ウェアラブルは1981年、ARは1965年が元祖だとする見解もあるほどである。しかし、どちらもコンセプトのみが先行する時代が長く、一般化しているとはいいがたかった。Google Glassはその軽量さ、スマートさから、実用的なウェアラブル、実用的なARを実現するものとして期待されており、2014年現在のウェアラブルのブームを引き起こしているといえる。実際、他社からも競合製品開発が発表されており、日本では、iPhoneを使ったARサービスの先駆的存在だった「セカイカメラ」を手がけた起業家が、「テレパシー・ワン」を準備中である。これまでのヘッドマウントディスプレイ(HMD)は大型で、おでこから目の前を全面的に覆い、サンバイザーのようにせり出すものだった。Google Glassはチタン製の軽量フレームも用意されているなど軽量化が施されており、普通のメガネと較べてあまり違和感がない。また、AR端末としては、メガネ型であるため、ハンズフリーでARを実現できる。Google Glassはメガネ型であるが、ウェアラブルデバイスの形状はメガネ型に限らない。現在、メガネ型と人気を二分しているのは腕時計型である。腕時計型ウェアラブル端末は俗に「スマートウォッチ」などと呼ばれることがあるが、グーグル社は Google Glassと別に「Android Wear」という、同社のスマートフォン向けOS「Android」をウェアラブル向けに展開するプロジェクトを進行中であり、そちらでスマートウォッチ製品が発表される予定である。なお、グーグル社は「Google Glass」以外にも「Glass」での商標登録も申請しているが受理されていない。市販される際にどちらの名称になるかは未定である。